杉浦コメント：この授業の特に良いところは、これからやることの予告とその意味がしっかり伝えられていることです。この予告がきちんとできないと、生徒たちはやっていることの意味が分からず、やる気を持って取り組めません。英語や美術、技術、体育などの実習系の科目は、この予告がキモになります。今回の指導案は、この予告がこれでもかこれでもかと伝えられています。このくらい伝えてやっと少し意味がわかってもらえると思いましょう。
シナリオ型指導案：高校英語（助動詞）、対象学年：高校一年
本時の目的
Ø 英語を授業の科目のひとつとして勉強するのではなく、ひとつの言語として扱う態度を養い、楽しみながら言葉として使いこなせるようになってもらう。
Ø 授業の中で毎回決まった英語表現を英語教師が使用し、繰り返すことで、音声から英語のフレーズを覚えてもらう。
Ø 生徒の多くが知っているであろう音楽や映像作品などを利用することによって、より英語を親しみやすいものだと認識してもらう。
Ø 三種類の助動詞を習得し、より使える英語表現を身に付けてもらう。
指導過程（高校１年、中間テスト後二回目の授業）
私：Every one, stand up, please!（生徒が立つ）
Good Morning! （午後なら Good Afternoon!）
生徒：Good Morning.かGood Afternoon.
私：Take your seats.（生徒着席）
おはようございます！ 前回は一時間使って中間テストのやり直しをやったから、今日からまた新しい単元にはいるよー！ みんな、高校のテストってどうやった？！点数よかった子もいたやろうし、高校生になってグッと勉強が難しくなった分、思い通りの出来じゃなかった子もいたと思う。 でも先生はこの英語の授業で、勉強っていうよりも、みんなが実際に使えるような英語を教えていきたいから、（授業の目的、生徒に伝わるようにはっきりとした口調で） 今日からまた一緒にがんばろうな！
授業の中身
Then, please open your text books, page
twenty-seven！（あえて一度英語で言う）
では、今日から入るところー、教科書２７ページあけよか！ いっかい目を通してきてなーって言っててんけど、みんな見てきてくれたかなぁ？何についての話やったかな？
生徒：カワイイカルチャー！ なんかマンガの話！ コスプレの人おるー！
（なんもみてきてないわー！）
私：そうそう！カワイイカルチャーってタイトルやな！英語でカワイイってなんて書いてるか見てみてー？ そう！ちゃんと読んできてくれてるなー！ ２７ページの写真におるよな！この人たちって日本の人かな？ （いま開いて２７ページ見てみてー！）
今みんなが言ってくれたみたいに、今日から入るレッスン３の本文は、日本のマンガとかアニメの文化、カワイイカルチャーについての話です！
じゃあ、英語のCultureはどういう意味やろう？
生徒：文化！（わからんー）
私：そうそう！文化、って意味です！（Cultureは日本語で文化って意味！この単元のキーワードになるし、大事な単語やから覚えとこな！）
あとタイトルのKawaii、やけど、これローマ字読みしたらかわいい、になるよな～？ これって、日本語の“カワイイ”って単語がもう英語になってるってことやねん！ 他にも、SushiやRamenなんかの日本語も英語になってるで！ 英語から日本語になった言葉も多くあるけど、日本語から英語になった言葉もあるって、なんか親近感沸くよなー？！
（授業の目的、生徒の反応を見ながら伝える）
じゃあ教科書にいって、２７ページの日本語のとこ読むなぁ。 みんな目で追っていってな！（生徒が動作を行っているか確認、見ていない生徒には指示を出す）
“現在、日本のマンガやアニメなどに世界中の若者があこがれています。～
海外の人の目にどのように映っているのでしょうか。“
（読みながら生徒の反応を確認）
日本のアニメやマンガの文化って、世界でも人気あるねんて～！
そしてその文章のつづき、下の、２７ページの写真のとこ見て～、さっきコスプレしてる人おるーって言ってくれてたよな！ 海外で日本の文化に興味を持ってこうやってイベントに参加している外国の人がたくさんいるねんな～！
よし、本文に入る前に、今日はこの単元の文法事項の勉強をしていくで！（何についての授業が始まるのか明確にする、はっきりと伝える）
Please open your text books, page thirty. 次３０ページ開けてみてー（開けているか確認）
今回の大切な文法事項は、“助動詞”です！ まず例文見ていこう！
３０ページの真ん中、ターゲットのとこみてな。（生徒がついてきているか確認してから次の発言へ）
じゃあ①のとこ、Can you read the sentence, anyone? Raise your hand! 読める人手挙げて～？
（生徒一人あてて読んでもらう）
生徒：You can see anime costumes at Japan
Expo.
私：Thank you! Great job! （単語読めないところある場合はフォローする）
Then, everyone, please repeat after me! 先生が読んだ後続いて読んでな！
You
can see anime costumes at
Japan Expo. （ゆっくり）
生徒たち：You
can see anime costumes at
Japan Expo.
私：Very good!! じゃあ意味確認していくでー
日本語が、“ジャパン・エキスポでアニメのコスチュームを見ることができます。”
になってるな！ “ジャパン・エキスポ”っていうのはフランスであるイベントのことやねんけど、本文でまた出てくるからそのとき詳しくやるな。 あと教科書ではCostumesをそのままカタカナで“コスチューム”にしてるねんけど、日本語で“衣装”って意味もあるから覚えといてな。
次に①の文法確認のとこ見てな、Canっていうのは助動詞のひとつで、「～（することが）できます」って意味やねん！
ちなみに、先生もいつも授業中にこのCanって言葉を使ってるけど、みんな気付いてた、、？ 実は、今日ももうすでに一回使ってるねんなー！（生徒の反応見る）
先生、いつもみんなに教科書読んでもらうときに、“Can you read the
sentence, anyone?”っていつも聞くよな、、？気付いた？！
生徒：あぁ！言ってたー！（言ってたっけ？）
私：そうやろ～！Canていうのはそれぐらい日常的に使う言葉やねん！ちなみに、先生が言ってるセリフは、直訳したら“だれか、その文章を読むことができますか？”、まぁ“読んでくれますか？”ってことやな！ みんな、いつも先生が一回英語で授業するの、めんどくさいなーって思ってたかもしれないけど、これは、こういう日常的に使う表現をみんなにフレーズで覚えてもらうためっていうのもあるねんで！ 動詞のReadのところを違う言葉にしたら、みんなもすぐに英語の表現ができるようになるから、先生のまねしてみてな～！（授業の目的、生徒のにはっきり伝えて、反応も見る）
（言ってたよー！ 実はみんなに英語をフレーズで覚えてもらうためにいつも一回英語で言ってるから、今度からまた注意して聞いてみて！）
じゃあ今度はまた教科書戻って、Canのとこの文法表現の例文読んでくれる人おるー？
Can you read this sentence, anyone? ほら、言ってるやろ？（笑）
（生徒一人あてて読んでもらう）
生徒：We can collect a lot of information
through the Internet.
私：Great! じゃあ意味のとこも読んでもらおかな！ （単語読めないところあればフォローする）
生徒：私たちはインターネットを通じてたくさんの情報を集めることができます。
私：オッケー！完璧やったな！ありがとう！！じゃあみんなで読んどこうか！
Everyone, please repeat after me!
We
can collect a
lot of information
through the Internet.（ゆっくり読む）
生徒たち：We
can collect a
lot of information
through the Internet.
私：Good job, everyone! Then, let’s go to
the next line. みんな、Canは大丈夫そうやな！
じゃ次の②のとこいくでー！
Can you read the sentence, number two,
anyone? Please raise your hand!
②のとこ読んでくれる人おるー？
（生徒一人あてて読んでもらう）
生徒：You should come.
私：Nice! Thank you!（読めない単語あればフォローする） ありがとう！じゃあみんなで読んでみよう！ Repeat after me!
You
should come.
生徒たち：You
should come.
私：All right! Great! みんな発音もばっちりやな！
このS H O U L D ってつづり長い単語はShouldって読むんやったな！
意味は“あなたは来るべきです”になります。
Comeが“来る”って言う意味の一般動詞やったよな！
次、教科書のShouldの文法確認のとこな～！ 助動詞のShouldは“～すべきです”とか、“～したほうがよい”って意味です。だから②のとこ、“来るべきです”（下線部を強調して）ってなってるねん。
助動詞のShouldが入るだけで、②のこんなに短いたった３単語の文章が、ちゃんと意味のあるひとつの文章になるねん！
だからここで、みんなに助動詞をしっかりマスターしてもらって、今よりもっと英語らしい英語表現をできるようになってもらいたいねん～！（授業の目的と助動詞を勉強する意味、強調して伝える）
じゃあ、文法表現の例文のとこ読んでくれる人～！Anyone! Raise your
hand!
（生徒一人あてて読んでもらう）
生徒：You should read this book. （わからない単語あればフォローする）
私：Right! Then, please read the meanings. 意味のとこも読んでみてー！
生徒：“あなたはこの本を読むべきです。”
私：Excellent! Thank you! Then, let’s read
together, please repeat after me! ありがとう！みんなで読んどこう！
You
should read this
book.（ゆっくり読む）
生徒たち： You
should read this
book.
私：Great, Everyone! みんなよく読めてるなぁ！その調子！
じゃあ最後、三つ目の助動詞見ていこう！
Can you read the sentence, number three,
anyone? だれか本文の③読んでくれる人はー？
（生徒一人あてて読んでもらう）
生徒：I will meet Japanese anime fans.（単語わからなければフォローする）
私：Great job! ありがとうー！じゃあみんな、Please repeat after me!
I will meet
Japanese anime fans. （ゆっくり読む）
生徒たち：I
will meet Japanese
anime fans.
私：Okay! Thank you, every one! オッケー！じゃあ意味確認していこう！
ここの文章の意味は、“私は日本人のアニメファンに会うつもりです。”になります。
Fanとか、もう日本語になっちゃってるよなぁ！Animeもそのままアニメでオッケー！
じゃあこの文章の助動詞、Willについてみていこう！②のとこ見てなー！
Willには“～（する）つもりです、～（になる）でしょう”って意味があって、これを知ってると、未来の予定とかについて話すことができるようになるねん！
じゃあ今日はここで、みんなに聞いてもらいたい曲があります！（授業の目的） 曲って言っても、30秒ぐらいだけどねー、でもみんな知ってるはず！（生徒の反応みる）
（～～♪Whitney Houston，I Will Always Love You 3分14秒～３分48秒ぐらいまでの一番盛り上がるサビのとこ流す）
生徒：（知ってるー！ 聴いたことあるー！ など）
私：はい、この曲は、Whitney HoustonさんのI Will Always Love Youって曲です！ いまみんなに聴いてもらったけど、この曲、知らんかったひとはおらんよな～？
（生徒の反応を見て）
みんな、いまの歌詞聴き取れた？
生徒：I will always love you.ってずっと言ってた！（初めて聞いたし、なんて言ってるかもわからんかった。）
私：そうそうー！そのI will always love you.は、助動詞のWillが使われてるよなー！意味はどうなるやろ？（初めてやったか！今のはずっとI will
always love you.って歌詞をくりかえしててん！じゃあ意味はどうなるやろうな？）
生徒：私はいつもあなたを愛するでしょう。 私はいつもあなたを愛するつもりです。
（わからへんー）
私：そう！！それ完璧に日本語にできてるよ～！ Willにつもりって意味あるもんな！あってるよ！ （単語ごとに見ていこうか！ Iは私は、Alwaysでいつも、Loveは愛するとか大好きやな、Youであなたのことを、これは目的格な。Willは新しく習った助動詞、～（する）でしょう、やで！ 全部引っ付けると、“私はいつもあなたを愛するでしょう。”になります。）
このWillがわかっただけで、世界的に有名な、みんなが知ってるような曲の、タイトルと大サビを一気に理解できちゃうねん！ こんな感じでいろんな文法を知っていったら、みんなも英語の曲や映画をそのままの音声で楽しめるようになったり、歌ったりできるようになるよな～！（授業の目的、親しみやすい英語）
またちょくちょく授業でこういう曲や映画なんかの映像も紹介していきます！
じゃあ、教科書戻ろう、文法確認の③のとこ、Anyone, can you read
the sentence please?
（生徒一人あてて読んでもらう）
生徒：Linda will buy some anime DVDs in
Japan.（単語わからなければフォローする）
私：Great! Then can you read the meanings? 意味のとこもいける？
生徒：リンダは日本でアニメのDVDを買うつもりです。
私：Good job! Thank you so much! Next, let’s
read together, please repeat after me!
Linda
will buy some
anime DVDs in
Japan.（ゆっくり読む）
生徒たち：Linda
will buy some
anime DVDs in
Japan.
私：Great, everyone! みんなよく読めてるわ～！助動詞三つ、大丈夫そう？（生徒の反応見る）
あと、ちょっとだけ一番下のプラスワンのとこ見てくれる？
（生徒が見ているか確認してから、間を開けて）
ここは、Be going to ～で、“～するつもりです”っていう連語の表現の紹介やねん！ 中学でやって覚えてる子もおるかな？ 一見Willと同じ意味やねんけど、教科書にあるように、Be going to のほうがより強い意志だったり、確信の意味になるねん！また一番下の表現も確認しといてなー！
じゃあ、今日の一番最後、（集中力持続させるため、切り替えさせるために言う）三種類の助動詞紹介したところで、この三つ全部に共通する使い方教えるから、ここはきっちり覚えて帰ってな！
この助動詞を使う文章のときは、
順番は、主語の後、動詞の前に助動詞を置く、
助動詞のあとの動詞は、主語に関係なく原形で！ （本時の文法ポイント、強調してゆっくり伝える）
これだけ守ってくれたら、みんなもすぐに助動詞使えるねん！（授業の目的） 英語って主語によって動詞の形変えたりしないとあかんけど、助動詞つかった文章だとそれがないから、覚えてしまえばいつもより楽に文章がつくれるかもー！ また文章考える練習もしていこうな！ ちなみに、Be going to～のときも一緒やで！
（授業終了５分前）
お、きょうはきりがいいし、ちょっと早いけどここまでにしとこうかー！ 今日は３１ページのAとCを宿題にしとくから次までにやってきといてな！ 次回は３１ページBの対話を使って助動詞の復習して、いよいよ本文入っていくよー！（次回の授業への記憶の連携のための発言） また本文お家で見てきてな～！
じゃあ今日の授業を終わります。
Then, everyone, stand up! （生徒起立）
See you!
生徒：See you!
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿授業終了