少し仕事に取りかかっておく
　
　後回しにしていた仕事を始めようとした時や、しめきりは先だけれど早く取り組まなければ終わらない重い仕事をしようとする時などに、始めようとしたとたんに手が止まるということはないでしょうか。
　やろうとする気持ちはあっても、筆が前に進まないことがあったりすると、まだ何もできていないという暗い気持ちになってやる気が失われしまうこともあります。
　また、しめきりが差し迫らないとやる気が出ないという人もいて、ぎりぎりに始めたはいいがアイデアが出ず身を削って仕事を終わらせるということもよくある話です。
　こんなことにならないための良い方法が、「少しだけ仕事に取りかかっておく」ことだ。レポートや仕事の企画書だったら、問題提起まで書いておくのです。例えば、「TPPに参加したら北海道の農業にはどのような問題が起こるだろうか」まで書いてほっておくのです。するとどうなるでしょう。
　私たちの認識は、心の中でぼんやりと持っている関心事に自然と注意を向ける性質を持っています。伊勢正三の歌にこんなフレーズがあります。

♪誰かを愛したその日には
たとえばちっぽけな絵葉書にも心が動き
愛をなくしたその日には
街角の唄にもふと足を止めたりする♪

　少しだけ仕事に取りかかっておくと、その問題意識によって私たちは自然とそれに関係ある出来事や新聞や雑誌の記事などに注意を向けることができます。そしてそのように注意を向けたことは仕事を再開した時にスムーズに進める助けとなるのです。さらにふだんからメモを取っておけば後はまとめるだけで仕事が完了ということすらあります。そんな仕事の下ごしらえをしておいたなら、机に座って仕事をするときのやる気はきっとずっと少なくすむことでしょう。

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