やる気のない時をやり過ごす

　このやる気Bankは、やる気を出すためのさまざまな方法を知識としてストックしておくという意味を持っているのですが、やる気を出すための方法よりももっと重要だと思うのは、自分で自分のやる気を失わせないようにすることではないかと私は考えています。
　たとえるなら投資をしてお金を増やすことも大事だが、より大事なのは投資で負けが込んでいるときに勝ち目がないのに加熱して有り金全部つぎ込んで一文無しにならないようにすることの方が大事ということです。
　なぜこんなことを言うのかというと、私たちは物事がうまくいかない時に自分で自分をおとしめてより深みにはまっていくことが多いからです。たとえばダイエットでのリバウンド。ダイエットで苦しい思いで食事を制限していたのがついストレスでポテトチップスを一袋食べてしまう。自己嫌悪になってもうどうでもいいやと暴飲暴食を再開してしまう。
　私たちは自分の心理状態を自分で循環的に補強していく傾向があります。うつ病の心理療法を開発したエリスは「人は一度みじめになると、自分のそのみじめさについて、いとも簡単に自分をみじめにしがちである。もし自分のしていることを観察すれば、自分の不安について、自分で自分を不安にしたり、自分の抑うつについて自分を抑うつにしたり」すると述べ、私たちの心の悪循環的特徴を見事に示しています。
　私たちはやる気が出ずに行動できない時、しばしば自分のやる気のなさや意志の弱さに自己嫌悪を感じてさらにやる気を失ってしまいます。実はこの悪循環的スパイラルがやる気を維持するにあたって最悪の事態なのです。
　やる気はちょうど天気変動のような波があり、意志の力だけではコントロールできない側面があります。
やる気がない時には、やる気のない自分について考えて（評価を下して）悪循環に陥ることのないよう、やる気のなさをありのまま受け止めること、そして別に書いたように、まず行動することが大事なのです。そうすればやる気の波の変動にしたがっていつか自然とやる気が出てくるのです。
　ここでもう一度強調して伝えたいことは、やる気にせよ、不安にせよ、抑うつにせよ、悪循環だけには陥らないようにということです。このことはこのやる気Bankでも何度でも強調したいことです。
　
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